この記事は、Netflixドラマ『D.P. -脱走兵追跡官-』と、その原作ウェブトゥーン『D.P 犬の日』の原作・ドラマ双方のネタバレを含みます。結末や重要な改変点まで踏み込むため、未視聴・未読の方はご注意ください。
「D.P.の原作って漫画なの?」「ドラマと原作はどこが違う?」「原作の結末はドラマと同じ?」——そんな疑問に、確認できた事実ベースで答えます。原作の正体、ドラマで足された要素、シーズン2が原作からどれだけ離れたのか、そして日本語版の読める場所まで、順番に見ていきます。
『D.P. -脱走兵追跡官-』の原作は?基本情報
『D.P. -脱走兵追跡官-』の原作は、キム・ボトン(김보통)によるウェブトゥーン『D.P 犬の日』(原題:D.P 개의 날)です。小説ではなく、スマホで縦読みするタイプの韓国ウェブ漫画(ウェブトゥーン)が原作にあたります。
掲載媒体は韓国のウェブトゥーンプラットフォームレジンコミックス(Lezhin Comics)で、連載期間はおおむね2015年〜2016年とされています。作者のキム・ボトン自身が韓国で経験した兵役(徴兵制による軍隊生活)をベースに描いた作品で、「D.P.」とは脱走兵を追跡・連行する憲兵の任務「Deserter Pursuit(脱走兵追跡)」を担う兵士を指します。
注目したいのは、原作者のキム・ボトンがドラマの脚本にも参加している点です。監督・脚本のハン・ジュニと共同で脚本を手がけており、「原作者が映像化にも深く関わった」タイプの作品といえます。だからこそ後述する改変も、原作を無視した改変ではなく、作者公認の再構成と読み解くことができます。
原作とドラマの基本情報を整理
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原作タイトル | 『D.P 犬の日』(D.P 개의 날) |
| 原作者 | キム・ボトン(김보통) |
| 原作の形態 | ウェブトゥーン(縦読みウェブ漫画) |
| 掲載媒体 | レジンコミックス(Lezhin Comics) |
| 連載時期 | 2015〜2016年ごろ |
| 題材の元 | 作者自身の兵役(軍隊)経験 |
| ドラマ | Netflix/全2シーズン・各6話(計12話) |
| 配信開始 | シーズン1:2021年8月27日/シーズン2:2023年7月28日 |
| 原作者の脚本参加 | あり(ハン・ジュニと共同脚本) |
つまり「原作はウェブトゥーン、作者本人が脚本にも入った映像化」というのが大枠です。ここを押さえると、次の改変点も理解しやすくなります。
原作とドラマの違い——変更点を表で整理
ここからが本題です。原作ウェブトゥーンとNetflixドラマでは、主人公の設定・追加キャラクター・物語の規模・トーンなどに違いが見られます。確認できた範囲の主な変更点を、まず表にまとめます。
主な改変点の一覧表
| 原作(ウェブトゥーン)の設定・展開 | ドラマでの変更 | 変更の意図(考察) |
|---|---|---|
| 主人公アン・ジュノの階級は「兵長(コーポラル)」 | ドラマでは入隊して間もない「二等兵(プライベート)」に変更 | 視聴者がジュノを「軍隊生活を始めたばかりの自分の友人」のように感じ、感情移入しやすくするためと監督が説明している |
| 相棒ハン・ホヨル(憲兵伍長)は原作に登場しない | ドラマオリジナルキャラとして新規に追加(演:ク・ギョファン) | 軽妙な相棒を置くことでバディものの起伏を作り、重い社会派題材に緩急とユーモアを与えるためと読み解ける |
| 原作はエピソード集積型で、社会派・告発的なトーンが軸 | ドラマもトーンは継承しつつ、バディの人間ドラマと映像的な緊張感を強化 | 縦読み漫画の断章を、連続ドラマとして筋の通った物語に再構成する狙いと考えられる |
| 主な視点は脱走に追い込まれる「いじめられる兵士」側 | シーズン1はその構図を踏襲。脱走兵それぞれの事情を1話完結に近い形で描く | 軍隊内のいじめ・しごき(加虐)の実態を、個別の人間の物語として見せる原作の強みを活かしたと読める |
| 原作の射程は基本的に末端兵士の現場 | シーズン2では上官・幹部側、軍という組織の責任、腐敗、性的マイノリティへの差別など扱う範囲を拡大 | 「個人の悲劇」から「組織の構造問題」へ主題を引き上げるための拡張と読み解ける |
| 媒体特性上、心理や状況は縦スクロールのコマ運びで提示 | 映像・音・俳優の芝居で、軍隊内の閉塞感や暴力の緊張を体感的に提示 | ウェブトゥーンの「読む怖さ」を、ドラマの「観る怖さ」へ翻案したと整理できる |
表のとおり、最も分かりやすい改変は主人公の階級ダウンと相棒ハン・ホヨルの新規追加の2点です。とくにハン・ホヨルは原作に存在しないドラマオリジナルでありながら、作品の顔ともいえる人気キャラに育っており、「ドラマ独自の発明」として高く評価されています。
シーズン2は原作からどれだけ離れたか
原作勢の間でとくに話題になるのがシーズン2の立ち位置です。連載期間が2015〜2016年ごろとされる原作に対し、ドラマは全12話。原作のエピソードを土台にしたシーズン1に比べ、シーズン2は原作の枠を超えた拡張・再構成の度合いが大きいと受け止められています。
具体的には、シーズン2は脱走兵を追う現場の話にとどまらず、軍幹部の保身、組織としての隠蔽、暴力をふるった兵士の責任は誰にあるのか、といった「組織の問題」へと主題が広がります。原作が告発した「現場のいじめ」を、ドラマは「それを生む構造」まで描こうとした——そう読み解くと、シーズン2が原作の延長というより独自の発展形に見える理由が分かります。
なお、シーズン2のどのエピソードが原作のどこに対応するか、という1対1の細かな対応関係については、公式から網羅的な言及があるわけではありません。この点は「原作の主題を引き継ぎつつ、ドラマ独自に踏み込んだ展開が多い」という理解にとどめておくのが安全です(断定は避けます)。
結末の違い——原作とドラマはどうなる
「ドラマの先が知りたい」「原作の結末はドラマと違うの?」という関心に答えます。まず押さえておきたいのは、原作はエピソード集積型のウェブトゥーンであり、ドラマのような一本の大きなクライマックスへ収束する構造とは性質が異なるという点です。そのため「原作の最終回=ドラマの最終話」と単純に対応づけるのは難しい作品です。
ドラマ側の到達点としては、脱走兵を追う側だったアン・ジュノ自身が、軍という組織の不条理に直面し、追う者から追われる側へと立場が反転していく展開がシーズン2のクライマックスを形づくります。「脱走兵追跡官が脱走兵になる」という皮肉な構図は、ドラマがたどり着いた強いメッセージとして語られています。
一方、原作ウェブトゥーンの結末の詳細については、日本語で網羅的に確認できる一次情報が限られます。そのため本記事では、原作の具体的な最終話の内容を断定的に書くことは避けます。確実に言えるのは次の点です。
- ハン・ホヨルは原作に存在しないため、ホヨルが関わる結末の見せ場はドラマ独自のものである。
- 「組織の責任」を正面から問うシーズン2のラスト周辺の主題拡張は、原作の枠を超えたドラマ寄りの到達点と読み解ける。
- 原作・ドラマに共通する核は「軍隊内の暴力といじめへの告発」であり、結末の細部は違っても、問題意識という背骨は一貫している。
要するに、結末の「形」はドラマ独自に作り込まれている一方で、結末が伝えようとする「告発のメッセージ」は原作と地続き——という整理になります。原作の最終回そのものを正確に知りたい場合は、後述の日本語版で実際に読むのが確実です。
補足として、ウェブトゥーンという媒体は連載中のエピソードを積み重ねていく構造のため、ドラマのように「シーズンのラストで一気に伏線を回収する」タイプの締め方とは設計思想が異なります。原作を読むと、ドラマが「物語としての山場」を意図的に組み直したことが体感として分かるはずです。逆に言えば、ドラマだけを観た人が「原作のこの場面はどう描かれていたのか」を確かめると、改変の意図がより鮮明に見えてきます。結末の違いは優劣ではなく、媒体ごとの語り方の違いと受け止めるのがフェアでしょう。
原作『D.P 犬の日』はどこで読める?日本語版の状況
うれしいことに、原作ウェブトゥーン『D.P 犬の日』は日本語版が刊行されています。出版は太田出版で、上巻が2025年11月27日に発売、下巻もその後(2026年初頭)に続く形で日本語コミックとして読めるようになりました。韓国では累計1000万ビュー規模に達したとされる人気作で、軍隊内の人権問題を扱った社会派ウェブトゥーンが、ようやく日本語で手に取れる状況です。
電子で読みたい場合は、ピッコマ/pixivコミックストア/コミックシーモア/dブックなどの電子書籍・マンガサービスでの配信が確認できます(取り扱いは時期により変動するため、各サービスで最新の配信状況をご確認ください)。「ドラマを観て原作が気になった」という方は、これらの日本語版で原作のトーンを直接味わうのがいちばん確実です。
なお、原作は有料作品です。本記事では内容の趣旨・改変点の紹介にとどめ、原作コマの転載や全文の書き起こしは行いません。詳細な展開はぜひ正規の日本語版で確認してください。
原作ファンの反応・評価
原作を読んだ層からのドラマ評は、おおむね好意的でありつつ、ドラマ独自要素への賛否も併存するのが実情です。両論を整理します。
肯定的な声として多いのは、「社会派のトーンと問題意識が忠実に映像化された」という評価です。軍隊内のいじめや脱走の背景を、きれいごとにせず重く描き切った点は、原作の精神を裏切らないものとして支持されています。原作者キム・ボトン自身が脚本に関わっていることも、原作勢の安心材料になっています。キャスティングについても作者本人が「役が俳優のために書かれたように見えるほどハマっている」と評したと伝えられており、配役面の納得感は高めです。
一方で、原作にないハン・ホヨルの追加については、「ドラマを面白くした大発明」と歓迎する声と、「原作の淡々とした現場感が好きだった層には味付けが強い」と感じる声に分かれます。またシーズン2の主題拡張に対しても、「組織批判まで踏み込んだ意欲作」と評価する人と、「原作の地に足のついた現場描写から離れた」と受け止める人がいます。
とはいえ、これらは「改悪」というより「映像化に伴う再構成をどう受け止めるか」という好みの差と読み解くのが妥当でしょう。原作の告発というコアは保たれており、その上でドラマがどこまで独自に踏み込むかをめぐる評価の幅、と整理できます。
本記事の結論:原作とドラマ、両方知るとD.P.はもっと深い
『D.P. -脱走兵追跡官-』をめぐる原作とドラマの関係を整理します。
- 原作はキム・ボトンのウェブトゥーン『D.P 犬の日』(レジンコミックス・2015〜2016年ごろ)。作者の兵役経験に基づく社会派作品で、作者本人がドラマの脚本にも参加している。
- 分かりやすい改変は主人公アン・ジュノの階級を兵長→二等兵に変更したことと、相棒ハン・ホヨルをドラマオリジナルとして新規追加したこと。
- シーズン2は原作の枠を超え、軍という組織の責任・腐敗・差別まで主題を拡大した独自色の強い展開と読み解ける。
- 結末はドラマ独自に作り込まれている一方、「軍隊内の暴力といじめへの告発」という背骨は原作と一貫している。原作の最終回の細部は日本語版で確認するのが確実。
- 原作の日本語版は太田出版から刊行され、ピッコマ等の電子サービスでも配信が確認できる。
ドラマで心を揺さぶられた人ほど、原作を読むと「足された要素」と「元からあった重さ」の両方が見えてきます。立場が反転していくドラマの皮肉も、淡々と地獄を積み上げる原作も、どちらも『D.P.』という作品の射程を形づくっています。原作とドラマ、両方を知ることで、この物語が問いかけているものがより立体的に見えてくるはずです。
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